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ゼーガペインと時をかける少女

【種別】考察
【時点】全般

本作の主人公であるソゴル・キョウの苗字は、筒井康隆の小説「時をかける少女」に登場する未来人「ケン・ソゴル」から取られていると思われるが、実はゼーガペインの学園パートは「ケン・ソゴル」側の視点から見た「時をかける少女」だと考えることができる。

セレブラントとしてのキョウが本来属している時間は、舞浜サーバーの中で設定されている「現在」から40年経過した「未来」であり、セレブラントはサーバーのリセットと時間のループの外側にいる存在として、舞浜で起こるすべての事象をあらかじめ知りうる立場にある。01話ではシマミナトが「本来の今日の天気」について会話しているし、18話キョウカワグチ達に対して、行っていない筈の学校で今日起きたこと、明日起きるであろうことを喋ってしまっている。

一度きりの「現在」という時間の切実さを象徴する学園生活と、その時間の流れを超越した来訪者という構図の原型は、「時をかける少女」の中に見られるものである。その上でキョウシズノが「現在」の方に属しているわけではなく、来訪者の側に属していること、「現在」がループしてしまっていることが、本作特有の切なさを演出していると言える(厳密にはキョウリブートされているため、前者と後者の間を移行しているのだが)。

また02話では、舞浜サーバーが不安定になって時間が不規則にジャンプしていることが、時計の針の動きでたびたび描写される。これは大林宣彦版「時をかける少女」でのタイムリープ表現へのオマージュといえなくもない。実際、このエピソードの中ではサーバー内の時間にかかわらずキョウの主観的な時間は一貫しており、リョーコトミガイミズサワなどがその周りで現れたり消えたりする。当然サーバ内の人々にとっては、キョウの方が時間と空間を跳躍(タイムリープ)していることになる。彼は言うなれば、時をかける少年なのだ。

さまざまな作品との類似が指摘されているゼーガペインだが、上記のように「時をかける少女」との関係も表層的な部分に止まっていないようである。いずれにせよ、本作の重要なテーマのひとつが「時間」であることは間違いないだろう。「時が戻ったら」のリフレインが印象的なED曲『リトルグッバイ』の当初のタイトルが "time" であった事も考え合わせると興味深い。

コメント

  • というような事を、細田守版「時をかける少女」(これも傑作!)を見て考えました。今この時期に同じ作品をモチーフにしたアニメが出てくるのも、きっと偶然ではないんでしょうね… -- 2006-08-16 (水) 07:13:12
  • 実際、過去の自分からの日記で より細かく舞浜で何が起こるのかを反芻したのかもしれませんね。 -- 2006-08-16 (水) 08:16:33

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