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BLOOD-Cとは何だったのか のバックアップ(No.11)


前書き

本編製作者の方々とは比べるべくも無いですが、『BLOOD+』『BLOOD-C』の2作品のまとめサイト製作を通じ、番組に向き合う時間が他の視聴者より多少長かった人間として、また、ネットでの動向・評判を継続して見守ってきた人間として、12話が終わった今、総括的な意見を書かせていただきたいと思います。
この作品を熱烈に愛していらっしゃる方、および、製作に携わっていらっしゃった方々には恐らく大変不躾な内容になることをご容赦いただければと思います。「ファンサイト」の管理人として、またいいオトナとしては「わりと最低な行為」をしていることは自覚しております。あらかじめお詫びの言葉を言わせてください。ごめんなさい。(文責:fukuieyume=本サイト管理人)

始まりは「ラスヴァン」(2000年)

Production I.Gが有名になるきっかけになった記念碑的作品『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(2000年)。
話の筋立てだけ見ると「無愛想でクソ強い謎の少女が等身大サイズの怪物を制服姿のまま日本刀で斬りまくる」という、身もフタもない感じなのですが、

  • 小夜のキャラクター造形が新鮮だった(萌えを排したタラコ唇の顔(寺田克也デザイン)、英語で会話し、年上のアメリカ人諜報員たちよりも老成しているという男前さ)
  • 終始英語で繰り広げられる会話(日本語字幕が出る)
  • 細部まで綿密に描き込まれたリアルな人物と背景
  • 音響・音楽・色彩設計等による不穏な雰囲気作りの絶妙さ
  • 物語に最後まで一定の緊迫感を持たせ続けた脚本・演出の良さ

などなど、これまでの「いわゆる日本のアニメ」のイメージを良い意味で覆す、洋画ホラー的テイストを大々的に取り入れたのが最大の成功要因と思われます。なおこの作品は海外でも高く評価され、I.Gの名を一挙に世間に知らしめました。また、I.G自体が単独著作権を持つ、初の作品となりました。

土6のTVシリーズ『BLOOD+』第1話の衝撃(2005年)

実験的すぎて一作で終わると思われていた『BLOOD』がTVシリーズ化されるという話が舞い込んできたのは2005年。しかも放映時間は18:00で全4クールと聞いて誰もが驚きました。あんな「スタイリッシュだけどグロ欝な話」をなんでそんな時間帯にそんな長尺で…?しかもスタッフほぼ総入れ替えだと…?ラスヴァンのファンたちは不安と期待の入り混じった気持ちで放映開始に臨んだことと思います。
そしてそんな多くのファンの期待を背負って始まった『BLOOD+』の第1話アバンはなんと!ベトナム戦争下での狂戦士化した黒小夜の、翼手も人間も区別しない『血みどろ・大・虐・殺★』でした。夜6時に家族と一緒に夕食を食べながら見ていたお子さんたちにはトラウマになったことでしょう。胸が痛くなります。I.GとMBSはいったい何を考えてこのシーンを冒頭に持ってきたんでしょう。頭が痛くなります。
ただこの瞬間、『ラスヴァン』ファンの期待値はMAXまで上がったことは間違いありません。「俺たちのI.Gはタブーに挑戦してくれる!きっと土6なんていう時間帯でも硬派なストーリー展開をしてくれるに違いない!」と。
この期待はほどなく裏切られることになるのですが、序盤のインパクトを引きずって最終話までつきあってしまった『ラスヴァン』ファンも当時かなりの数いたのではないでしょうか。
ただ、至極まっとうな反論として「いや、こんなのずっと続けてたら視聴者から抗議が来て打ち切りだよ!」という声もありました。この思いは製作側も当然感じていたようで、『BLOOD+』は第2話以降「ややグロながらも比較的ソフトな路線」を歩み始めます。

迷い続ける主人公「二代目小夜

さて、タラコ唇こそ先代を踏襲した『BLOOD+』版の小夜ですが、内面は初代とまったく異なり、「戦いたくない病」に序盤から終盤まで冒され続けることになります。
二代目小夜は「あたし戦えない」→「小夜、戦って」→(何かふっきれる)→「うん、わたしもう迷わない」→(何かショックな新事実発覚)→「やっぱりあたし戦えない」のループを一年間延々繰り返します。
普通の視聴者ならあきれて愛想を尽かすところですが、この小夜、なんと「低血圧で会社や学校に行きたくない女子」の「あたしと似てるかも」といった共感を期せずして得てしまいます。
また、ディーヴァやそのシュヴァリエなどの豪華な敵役を始め、周囲のキャラがみんな立っていて、しかもたいがい小夜LOVEだったため、視聴者女子が小夜に感情移入することでプチハーレム気分を味わえたことも人気につながりました。本作は「全てを手放しでは褒められないけどなんとなく好き」という独特のファン層の人気を集め、視聴率的にはあまり振るわなかったものの、打ち切りも無く4クールを走りきります。また、DVDや解説本、コミカライズ版の売り上げもそこそこ良かったようです。
BLOOD+』の良かった点を上げると、以下のようになるでしょうか。

  • 小夜はウジウジしてたけど、基本どこにでもいるような「普通に素直な良い子」であり、感情移入しやすかった。
  • 脇キャラ含め「本当に悪い奴」はそんなにいなかったし、それぞれの行動原理にも無理が少なかった。
    また、外見・性格ともに個性的で魅力的なキャラが多かったので、それぞれのキャラに一定のファンがついた。
  • ストーリー的にはループが多い上、途中でダレる部分もあった(4クールは長すぎた)が、解かれるべき謎に対しては徐々に明らかになっていった。伏線もほとんど真摯に回収されたので視聴者的にはすっきりした。
  • 世界中を回る、「ロードムービー」「旅番組」的な面白さがあった。各国の風景や食べ物(本当に美味しそうだった)も丁寧に描かれ、小夜ら一行と共に旅をしている気分が味わえた。
  • 雑魚敵である翼手にも「ある種の恐怖感」があり、突然の襲撃シーンや虐殺なども「安易な笑いに転化」などされることの無いよう、真面目に演出されていた。

パチンコ業界への進出(2009年)

2009年07月、タイヨーエレックよりパチンコ新機種「CR BLOOD+」シリーズが発表になり、10月から全国のパチンコ店に並び始めます。この機種はストーリー性もあいまって結構な人気機種となり、I.Gの単独著作権保有の作品だったことから、I.Gに多大な収入をもたらしました。このあたりから「オリジナルをやると儲かるのだな」という思想がI.G社内に徐々に芽生え始めたのではないでしょうか?
パチンコ化が確定した2009年前後くらいから、新たなBLOODシリーズの企画模索が(恐らくパチンコ化も念頭に置いて)始まったのではないかと思われます。
また、この年には香港・フランス合作の実写版映画「ラスト・ブラッド」もひっそりと日本で公開されます。本作品は前半で初代ラスヴァンのストーリーとカット割をアホほど忠実にトレースしていること以外、特に語るべき点の無い「フツーの香港映画」なので割愛します。

そしてついに3作目『BLOOD-C』が発表に!(2011年)

2011年春ごろより、「I.GがBLOODの新作を作るらしい。キャラデザはCLAMPらしい」という情報が流れます。
ここでネット上の意見は真っ二つに分かれます。
1.「やった!シリーズ3作目素直にうれしい。I.G.もBLOOD+での冗長さをやめて1クールで来たし、水島監督も有能だそうだからきっとテンポ良くやってくれる。CLAMPキャラはコードギアスでも成功したし。ややベタだけどまあ許容範囲内だよね。」
2.「最近のCLAMP作品のストーリーは一時期の質がとても望めない(オチぶんなげも多い)。脚本までさせるのはどう考えても無理だ。原案くらいにしといたほうが無難。キャラデザもいかにもなCLAMPテンプレキャラで2010年代のアニメとは思えないほど新味に乏しい。コードギアス同様、もう少し別の人が手を加えたほうが良い。このままではひどいことになる。少なくとも俺は見ない。」
事前の下馬評が割れた『BLOOD-C』ですが、1作目のファンも2作目のファンも新規ファンもCLAMPファンも、なんだかんだ言いながら、みんなが期待と不安を胸に、第01話の放映を待つことになります。そして…。

ついに始まった『BLOOD-C』第01話、果たして…(2011年)

(この項続きます。徐々に更新される予定です。)

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