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MG ガンダムF91

087 F91 ガンダムF91  2006年7月29日発売 3360円 (本体3200円)

総合△〜○ 関節◎ ギミック○ 武器◎

総評

小型MSのMG化の実験作として、ポリキャップレスの全身ABSフレーム構造や、PET樹脂の導入、緻密なディテール彫刻など様々な新技術が盛り込まれた意欲的なキット。
その他にもフェイスオープン、肩の放熱フィンの展開などギミックも豊富で、可動範囲も広く非常に凝った内容となっている。
ラフレシアとの対決シーンをイメージしたスタンドも付属。

だが新技術の導入が目的化してしまった感があり、特にフレーム部分はハメ合いの調整不足、強度不足によるパーツの破損などが多数報告されている。そのため全体的に組みづらく、初心者に手放しではオススメできない。
また設定画の見落としとも取れる部分や、機体イメージとはかけ離れたプロポーションやアレンジ、可動範囲を重視した結果不自然さが目立つ関節、再現度が高いとは言えないギミックなど、F91というキャラクターの商品としては大きく疑問を感じる点が多いのも事実。
プラモデル単体としてのクオリティを見れば近年のMGの中でもかなり高い水準にあり、HG級のサイズにMGのコンセプトを凝縮した高密度感は素晴らしいだけにその点さえもう少し煮詰められていれば…と全く残念でならない。
今後それらが改善されることを期待。

プロポーション

設定画や劇中の流麗で丸みを帯びたイメージとは異なり、各部は直線的な面構成となっている。ビークラフトによるMG画稿の印象ともまた異なり、プロポーションのバランスはフリーダムMk-II 2.0等のいわゆる「ビークラフト体型」にアレンジされていて、大きすぎる上半身に対して下半身が貧弱でアンバランスに見える。
F91にこのようなアレンジを期待していた者がどれ程いたのだろうか。各模型誌での「キットレビュー」がそれを物語っている。

頭部はアンテナの角度と大きさが変えられており、ヘルメットが膨れてフェイスも丸顔になっているため、かなり印象が変わっている。フェイスオープン時にはギミックのためのスペースが原因で、目尻のヘルメットとマスクの間の隙間が目立つ。
下半身は、股関節軸の位置が下すぎてポーズを取った時に不自然さが目立つ。また各パーツの形状や大きさのバランスにメリハリがなく、足首内部アーマーに至っては存在自体忘れられている。
その他にも、大きすぎる肩アーマーや腕部、小さいスリッパ、突き出た胸部バルカン、厚みと丸みが足りない腰フロントスカート、角張った腿など、各部の形状やアレンジの方向性には否定的な意見が多い。
立てヒザや見得を切ったポーズのためにスタイルを犠牲にしたのに、その結果ポーズを決めても格好悪くなってしまったのは皮肉か。
お手軽改修としては、旧キットの肩アーマーとフィン、スリッパはほぼ無改造で流用可能。

バックパックバーニアや逆三角形マークは細かくパーツ分けされ、塗装派にもパチ組み派にも嬉しい配慮となっている。だが腰フロントスカートのノズルはフレームと同じグレーで成形されており、ここはいっそ白のままにしておいてくれた方がパチ組み時の印象が良く、塗装時は白を塗る手間が省けた。
手首の作りは最近のMGと同様のものだが、設定では丸指のはずなのにキットでは角指になっている。ギャンがきちんと丸指になっていたのに、何故このキットでは出来なかったのだろうか?
ビームシールドはビームの波紋をグラデーションプリントで再現しており、今までのどのキットのビームシールドよりも良い出来。

関節

ポリキャップレス構造により、関節はABS同士の勘合のみ。
可動範囲を広げるためヒジ、ヒザ関節などは間延びした印象を受けるが、その甲斐あって良く動き保持力も高い。
ヒジ関節に横ロールがあるため、独特の関節ディテールが再現されていないのは残念。
また股関節は軸の位置がオフセットされているため可動範囲そのものは広くなっているものの、太腿を上げるポーズを取った場合に太腿が股間ブロックより下側にはみ出てしまい不自然さが目立つ。
素直にポリキャップを使った方が早かったのでは?と思うような箇所も多数。

ギミック

フェイスオープンは設定ではフェイスガードが真ん中から左右に分割されるが、キットでは一旦ヘルメットを外し、フェイスガードをはね上げることで実現している。技術的には面白いが再現度が高いとはとても言えない。
肩の放熱フィンも設定では二段伸縮するはずがキットでは一段。そのためフィンが短くなり、ギミックを仕込んだ肩アーマーは大きくなってしまった。展開時のフィンの位置と角度も疑問。
ビークラフトの画稿などでも指摘されていたが、これらの部分にはスタイル重視の差し替えパーツを用意しておいて欲しかった。

ヴェスバーのスライドギミックは基本的に旧キットと同じ構造になっていて、基部はボールジョイントで接続されている。だがアームに角度がついていないため片方のヴェスバーを前面に向けるとサイドスカートと干渉し上半身が横に傾く。両方を前面に向けようとすると両方干渉するので腰が抜けそうになる。
その他コクピットハッチの開閉や、ふくらはぎブースターの展開も再現されている。
右の腰サイドスカートには予備のビームシールド基部が収納される。左はサーベルラックになっているが、スカート裏の開閉ギミック用のパーツが太腿に干渉し、ポーズを付けているとパカパカ開いてしまう。
腰リアスカートのマウントラッチにはビームランチャーをマウント可。

武器・付属品

  • ヴェスバー×2(射撃位置にレールスライド、展開可)
  • ビームライフル
  • ビームランチャー(腰リアスカートにマウント可)
  • ビームサーベル×2(腰サイドスカートに収納可)
  • ビームシールド(クリアグリーン成形、予備の基部は腰サイドスカートに収納可)
  • 1/100パイロットフィギュア(座/立)
  • 展示用スタンド(ラフレシアのコクピットをイメージ、テンタクラーロッド×4、1/100鉄仮面フィギュア付属)

組立て時の注意

各パーツの噛み合わせがきっちりしていて強力なので、組立て方を間違えた場合に後からパーツを外すのが難しい。特にフレーム部分は要注意。
製品の個体差にもよるが、パーティングラインやバリ等が残っていてハメ合わせや動きが渋くなっている場合も多いため、怪しいと思った箇所はヤスリなどで丁寧に整形すること。

左腰サイドスカートのH25のパーツは、H26のボールを受ける穴が正面から見て半月型に埋まっている、という成形不良が多数確認されている。これは削って開口すれば済む模様。手に余る場合はパーツ請求を。
ヴェスバー基部フレーム(H4、H5)のリング状部分や、フェイスパーツ(B11)は破損報告がいくつか上がっているので注意。
ヴェスバー内部のH28は非常にハメにくいのでレール部分の溝を掘るなどして対処。
ヒザ関節カバー(E22、E23)も固くなかなか通らないので、事前にバリを削るなどして対処。パーツを持つ指の位置や力のかけ方によってはスルッと入る場合もあるので、絶対に無理はしないこと。
ビームシールドのビーム部はハメ込みがきついため塗装した場合は剥がれる。予備の基部を使って基部ごと差し替えを推奨。
カメラアイのシールはフェイスオープン時に干渉してズレる。塗装の方が無難。




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